「産後1ヶ月は安静に!」と、退院指導で必ず言われますが、正直 安静にしてられる状況じゃないママも多いと思います。
みんながみんな、家族の協力や里帰り出産をするわけでもない!もし安静にしなかったらどうなるのか?一日をどう過ごせば良いのか?
産後1ヶ月で変わる体の変化や無理に動くとどうなってしまうのかなどを紹介したいと思います。
まず、産後1ヶ月で体はどう回復するのか?
●子宮が元の大きさに戻る時期
赤ちゃんの成長と一緒に大きくなった子宮は、通常より約7倍の大きさまで膨らみます。
出産と同時に子宮は元の大きさに戻るため収縮します。
出産後すぐ、子宮のあたりがギューっと痛くなることがあるのですが、これは「後陣痛」というものです。
一人目より二人目の方が痛みを強く感じ、約2日くらいで痛みは収まっていきます。
痛みが小さくなったからといって、子宮が元の大きさに戻るわけではありません。
収縮を繰り返し子宮は元の大きさに戻るのですが、時間にすると約1~2ヶ月かかります。
●会陰の傷が修復する
会陰とは赤ちゃんが生まれてくる出口の部分。
小さな会陰から大きな頭が出てくる時、しっかりと出口が伸びてくれないと裂傷します。
裂傷すると裂け目がギザギザな状態となり、回復するまで時間が掛かってしまいます。
炎症や感染症を避けるため、状態を見てハサミなどを使い会陰切開をして出産を楽にします。
最近は溶ける糸を使って縫合するのですが、糸は約1週間で吸収され、その後1ヶ月検診ではほぼ吸収されてきれいな状態になっています。
縫合したため、産後すぐは傷口が痛く普通に座ることが出来ません。
トイレに行くときも痛みを感じ、便秘になってしまうママも多いんです。
無理に動くとつっぱり感を感じるなど、傷口の修復が遅れてしまいます。
常に清潔に、そしてトイレで用を足す時は力まず負担をかけないようにしましょう。
●悪露が少なくなる時期
おろは出産の時、子宮内や膣の傷口から出る血液や粘膜の事です。
経血とは違い、ちょっと粘りっけのある血液が特徴です。
出産直後は夜用ナプキンでも足りない程の量がすが、日が立つに連れて量や色が変わっていきます。
子宮回復と一緒に悪露の量が減っていきますが、母乳育児の場合、増えてしまうこともあります。
1ヶ月検診の頃には、昼用ナプキンでも十分なほどの量(生理終わりかけの量)、もしくは完全になくなるママも多いでしょう。
悪露は子宮回復を示すバロメーターの役目でもありますが、1ヶ月検診で子宮の戻りが良いと言われてるのに、悪露が出ていてもとくに気にすることはありません。
ただ、鼻につくようなニオイ、出産後と変わらぬ悪露の量の場合は、一度、医療機関へ相談した方がいいかもしれません。
産後一日の生活スケジュールはどう過ごすかが重要!
産後1ヶ月の毎日は、赤ちゃん中心の生活となります。
もちろん、上の子が居たり夫の洗濯など家事や育児をしなくてはいけない状況でも、基本はママが休める状況を保つこと。
一日のスケジュールはとてもシンプル。
授乳→おむつ→寝かしつけ(一緒に眠る)
基本はこの3つですが、時間を見て沐浴とママの入浴、食事を挟みます。
出来る限り外出は控えて過ごすことです。
外出しないので一日中、パジャマのママや素っぴんで居ることが多いです。
なら、産後1ヶ月の過ごし方はどうすればいい?
●産後1週間目
初産婦なら6日、経産婦なら5日ほど、病院へ入院します。
ママの体調回復、赤ちゃんの検診や検査などが行われます。
少しずつ赤ちゃんのお世話に慣れるため、沐浴指導やおむつ交換の仕方などを看護師の方へ指導してもらいます。
母乳育児に取り組んでいる医療機関は、入院中に母乳が出るようにマッサージケアなども行なってくれます。
入院しているのでもちろんですが、食事は全て作ってくれ、掃除も必要ないのでママは赤ちゃんの世話に専念できます。
●産後2週間目
何もなければ病院から自宅へ、赤ちゃんと一緒に帰宅します。
ここからは看護師のアドバイスもなく、家族で協力しながら育児となります。
床上げをしない生活を送ります。(布団の上げ下ろしをせず、敷きっぱなしにしておく。)
ママの仕事は、赤ちゃんの授乳とおむつ交換が主となります。
また会陰の洗浄は行われないので、細菌感染を起こさないためにこまめにナプキンの取り換えを行いましょう。
●産後3週間目
まだ床上げはしません!一日の多くを布団の上で過ごす事となりますが、少し歩いてもフラつきなどがなければ、軽い洗濯(ボタンを押すだけ)などします。
赤ちゃんは真夜中でも授乳をするため、産後3週間目が実は睡眠不足になりやすいんです。
これまで気張りしていたけど、少しずつ生活リズムが整ってきたこの時期は、体調管理はしっかり行いましょう。
体調次第では軽い外出が出来ます(家の周りを歩く程度からスタート)
●産後4週間目
出産から1ヶ月経過で、ママと赤ちゃんの1ヶ月検診を行います。この時まで外出を控えていたママが多いのですが、久しぶりの外出だからといって無理は禁物です。
医師から「通常の生活に戻っても大丈夫」と言われても、行動は必要最低限にしましょう。
人混みなどにわざわざ行くようなことはしないようにしましょう。
感染症の原因となってしまいます。
家事は少しずつ、一度に行わず体調と相談しながら動きましょう。
もしも産後1ヶ月に無理に動くとどうなる?
●腰痛が長びく
たとえば長時間同じ姿勢をキープしている、体調が良いからと重い物を持ってしまった。
産後1ヶ月に無理に動いた結果、腰痛持ちになってしまうママが多いんです。
腰痛の原因は血行不良だったり、無理な姿勢で腰を痛めてしまったことです。
腰が痛いときは冷えから体を守る必要があります。
また姿勢の悪さも関係しているので、骨盤ベルトなどで広がってしまった骨盤を元の位置に戻す必要があります。
●尿もれが起こってしまう
くしゃみした時、立ち上がった時など、ふとした時に尿漏れが起こってしまうことがあります。
産後1ヶ月で尿漏れを実感するママが多いのですが、出産により骨盤底筋が緩んでしまったことが原因です。
出産する時、さまざまな筋肉を使うのですが、この時、骨盤底筋という筋肉に負担が掛かります。
産後1ヶ月で体調回復すると共に尿漏れも起こりにくくなるのですが、1ヶ月検診を過ぎても尿漏れが止まらない場合、骨盤底筋を強くする運動を一日の数分取り入れる必要があります。
●子宮が元の大きさに戻らない
大きくなった子宮は、約1~2ヶ月かけて元の大きさに戻ります。子宮収縮しながら戻っていくのですが、中には元の大きさへ戻らない事もあります。
このような状態を「子宮復古不全」と診断します。
子宮内に胎盤や卵膜の一部が残っている事などが原因の一つですが、実は他にもあります。
トイレを我慢している、便を我慢して便秘気味なども原因の一つです。
産後1ヶ月は赤ちゃんのお世話中心ですが、ママの体調回復も必要です。
泣いていてもトイレに行きたい時は行くこと。
タイミングを逃すと、次にトイレに行くまで時間が空いてしまい、知らぬ間に膀胱炎や便秘になっていることもあります。
●感染症により高熱が出る
出産で赤ちゃんの出口である会陰がうまく伸びなければ、会陰切開をして赤ちゃんが生まれるサポートをします。
会陰切開後は縫合して傷口を塞ぐのですが、傷がキレイになるまで約1ヶ月ほど掛かります。
産後1週間は入院中に毎日1回、会陰の洗浄をするのですが、一日中付けているナプキンをこまめに取り替えるなどしなくてはいけません。
細菌が傷口から入り込み、感染症を起こして高熱が出てしまうことがあるんです。
これを「産褥熱」と呼びます。
赤ちゃんのお世話ばかりし、ナプキン交換を後回しにしている、無理に動いて悪露がたくさん出ている時は特に交換を頻繁に行いましょう。
●便秘になる
出産時にいきみ過ぎて、いぼ痔や切れ痔になることは珍しくありません。
殆どのママが経験していると思いますが、いぼ痔の場合、お尻を拭く時に違和感があったり、便をする時に違和感があるのですぐわかります。
便をする時、いぼ痔や切れ痔になると痛くて思うように出来ないんです。
出たいけど出ないを我慢して、便秘になってしまうことがあります。
毎日トイレに行く時間を決めておき、自然排出が出来るようにしばらくトイレに座る時間を作りましょう。
●気持ちの浮き沈みが激しくなる
慣れない育児、そして寝不足が続くと精神的にダメージを受けます。
家族が全面サポートをしてくれても、気持ちの浮き沈みが起こってしまうママも少なくないんです。
ホルモンバランスなども関係していますが、数日ずっと気持ちが沈んだ状態をキープしていると「産後うつ」になってしまう可能性もあります。
誰かに今の気持ちを聞いてもらう、赤ちゃんのお世話を全て自分だけで負担しないなど、精神的な事を考えて無理はしないようにしましょう。
産後1ヶ月は、一日の大半を横になっていてもいいんです!
それってとても贅沢なことじゃないですか???
今しかできない、自分へのご褒美と思いましょう。
【90%】 赤ちゃんのお世話
【10%】家事や家庭のこと
バランスはこんな感じで一日を過ごします。
【10%】家事や家庭のこととは、夫や家族との会話ですね(笑)ご飯の準備もトイレ掃除も床掃除も、なにもやらずに過ごすことで、体の回復は順調に整ってくれます。
でも、これには家族の協力が必要です!
里帰り出産をせず、自宅で産後生活を送る方は特に注意しなくてはいけません。
夫が非協力的、仕事仕事で赤ちゃんのお世話どころか、ママのお世話すらしてくれない。
そんな状況でも、最低2週間は動かず布団の上で過ごしましょう。
後から絶対に後悔します。抜け毛、腰痛、頭痛、眼精疲労などなど・・・。
ご飯支度が出来ないなら宅配弁当サービスを使う。
夫の仕事着の洗濯が出来ないなら宅配クリーニングを使う。
買い物ならネットスーパーを使う。
体は動かずとも、手だけ動かせばお願いした事をサービスが協力してくれます。
どうやって過ごすかは家庭によって違いますが、とにかく自分で動かなくては!という考えだけは捨てましょう。