社会保険料免除は産休でもできますが、自動で免除にはなりません!
今回は、産休で社会保険料を免除にする条件。育休や年金免除も適用なのかについて、詳しくお伝えします。
産休で社会保険料免除されてない人が多いので、損しないために参考にしてくださいね。
産休で社会保険料免除ができる!
産休すると、社会保険料を免除できます。
社会保険料が産休で免除されるようになったのは、2014年4月から。以前までは、産休しても保険料の免除がなかったので、産前産休の負担が大変でした。
社会保険料の免除対象者は、次のような人です。
・厚生年金保険の被保険者である女性
・出産予定日が属する月から1か月前の日までに、厚生年金保険の被保険者となっていた者
対象者は、産前産後休業を取得した労働者です。
「厚生年金保険料、健康保険料、介護保険料、雇用保険料」が免除されます。
産休の社会保険料免除はいつから?
産休で社会保険料が免除されるのは、産前42日(多胎妊娠の場合は98日)と産後56日の期間です。
妊娠または出産を理由として労務に従事しなかった期間中のみです。
産前産後休業の「開始日に属した月から、産休を終了する前月まで」の社会保険料が免除されます。
例えば、5月1日から産前休業に入った場合、5月分から10月分までの社会保険料が免除されます。
産休中の社会保険料はいくら?
産休中の社会保険料は、0円です。
産前産後に休暇するまで、社会保険料は会社と被保険者が半分ずつ支払っていました。
例えば、標準報酬が月額20万円の人は、全国健康保険協会管掌保険料が9,840円(会社と合わせると全額19,680円)。厚生年金保険料は18,300円(会社と合わせると全額36,600円)です。
労働者は、社会保険料と厚生年金保険料を合わせて、28,140円負担しています。
産前産後で休業すると、保険料はすべて免除になるので、経済的な負担を大幅に減少できますよ。
参照:令和3年3月分(4月納付分)からの健康保険・厚生年金保険の保険料額表(https://www.kyoukaikenpo.or.jp/~/media/Files/shared/hokenryouritu/r3/ippan/r30213tokyo.pdf)
育児休業も健康保険は免除?
育児休業も健康保険を免除できます。
免除対象者は、産休する人と変わらず「育児休業を取得した労働者」と「被保険者」と条件があるので気をつけてください。
夫の社保に加入する被扶養者が、育児休業を取得しても保険料の免除は適用されません。
育児休業で健康保険などが免除される期間は、次のとおりです。
満3歳に満たない子を養育するための育児休業期間(育児休業及び育児休業に準じる休業)
2022年10月からは、育児休業開始月の10月に14日以上育児休業等を取得した場合は、育児休業等の開始日から終了前月までの保険料が免除されるようになりました。
例えば、5月1日から育児休業に入った場合、5月分から10月分までの保険料が免除されます。
免除される保険料は「厚生年金保険料、健康保険料、介護保険料」です。
育児休業の健康保険免除とボーナス
育児休業の健康保険免除は、ボーナス(賞与)も対象です。
ただし、ボーナスの社会保険料免除には、条件があるので気をつけてください。
・賞与を受け取った月の末日を含む、連続した1ヶ月以上の育児休業を取得
・賞与を支給する月の翌月末日までに、会社が日本年金機構に賞与支払届を提出
具体的には、賞与を受け取った月の末日を含む、連続した1ヶ月以上育児休業を取得した場合に限り社会保険料が免除されます。
例えば、12月31日に賞与を受け取った場合、12月から翌年1月までの賞与にかかる社会保険料が免除されます。
また、賞与を受け取った月の末日が育児休業期間の途中である場合でも、連続した1ヶ月以上の育児休業を取得していれば社会保険料が免除されます。
2022年10月1日より前までは、賞与を受け取った月の末日時点で育児休業中であれば、その月の保険料が免除されていました。
しかし、育児休業の社会保険料免除の見直しにより、2022年10月1日以降は「その月の末日を含む、連続した1ヶ月以上の育児休業」に変更されたので気をつけましょう。
申請必要!産休で社会保険料免除されてない問題
産休で社会保険料を免除するには、申請が必要です。
産休したのに「社会保険料免除されてない!」というトラブルがよくあります。
申請は、会社に産休や育児休業することを伝えて、会社側が日本年金機構へ提出します。
「厚生年金保険・健康保険・介護保険・雇用保険 被保険者資格取得届(産前産後休業)」
「厚生年金保険・健康保険・介護保険 保険料免除・納付猶予申請書」
書類は会社の事務所に伝えて受け取る、または、日本年金機構のホームページからダウンロードできます。
会社が届出書類を提出する期限は、産前産後休業開始日から産前産後休業終了後、1ヶ月以内です。
産前産後休業中の社会保険料免除は、自動的に適用されません。
届け出を出さずに産休や育児休業すると、社会保険料が免除どころか、通常通りに発生する可能性があるので気をつけてくださいね。
産前産後は年金も免除になる?
産前産後は年金も免除できます。
年金免除をできる人の条件や期間が違うので、確認しておきましょう。
厚生年金の産前産後の条件
対象者は、「産前産後休業を取得した国民年金被保険者」です。
国民年金で出産しても免除になります。
産前産後に厚生年金の免除をする場合は、会社側に伝えると申請してくれますが、国民年金の場合は自分で市区町村の役所で手続きをしないといけません。
「国民年金保険料免除申請書」という書類に必要事項を記入して、提出します。
必要な書類は、市区町村の役所窓口、または各自治体の公式サイトからダウンロードできます。
年金免除は、産前産後休業中の経済的負担を軽減するための制度です。産前産後休業を取得する予定の方は、ぜひ利用を検討してみてください。
年金の免除期間
産前産後の年金免除期間は、出産予定日または出産日が属する月の前月から4か月間に定められています。
出産予定日または出産日が属する月の前月から4か月間(多胎妊娠の場合は、出産予定日または出産日が属する月の3か月前から6か月間)の国民年金保険料が免除されます。
例えば、5月1日から産前休業に入った場合、4月分から7月分までの国民年金保険料が免除されます。
社会保険料免除!産休時の注意点
産休でも、社会保険料免除など経済的負担になる制度がたくさんあります。
ただ、社会保険料の免除をする手続きや条件などって、あまりわからない事が多いですよね。
そこで、社会保険料免除など、産休時に気をつけたいことをまとめました。
産休の社会保険料免除が月の途中だった場合
月の途中に産休すると、社会保険料免除の期間は「産休の開始日の属する月から終了前月まで」です。
例えば、5月20日から産休に入った場合、5月分から10月分までの社会保険料が免除されます。
ボーナスの社会保険料免除の計算方法も同じです。
賞与を受け取った月の末日を含む、連続した1ヶ月以上の育児休業を取得している場合に限り社会保険料が免除されます。
例えば、12月31日に賞与を受け取った場合、12月から翌年1月までの賞与にかかる社会保険料が免除されます。
退職する場合、出産後の失業保険はどうなる?
出産後にすぐに失業保険をもらうことはできません。
失業保険は、会社を退職して一定の条件を満たした人が、再就職するまでの間、生活の安定を図るために支給されるものです。
出産後に失業保険をもらうためには、以下の条件を満たす必要があります。
・雇用保険の被保険者期間が1年以上
・出産日の前日までに退職
・退職日に出勤していない
・出産日の翌日から180日以内に求職活動を開始
これらの条件をすべて満たした場合、出産日の翌日から失業保険の給付を受けることができます。
ただし、出産直後は、育児休業や産前産後休業中であるため、すぐに求職活動を開始することが難しい場合があります。
出産退職の場合は、失業保険の受給期間を延長する「受給期間延長給付」を利用することができます。
受給期間延長給付を利用すると、最大で4年間、失業保険の給付を受けることができます。
受給期間延長給付を利用するためには、以下の手続きが必要です。
・離職票の提出
・失業保険受給資格決定通知書の提出
・求職活動状況の報告
受給期間延長給付の申請は、出産日の翌日から180日以内に行う必要があります。
また、受給期間延長給付を利用する場合でも、求職活動は必ず行う必要があります。求職活動が不十分であると、失業保険の給付が停止される場合があります。
出産退職の場合は、失業保険の給付額が減額される場合があります!
出産退職で失業保険をもらう場合、条件や手続きをしっかり確認してくださいね。